アスパラガスはユリ科である。
夏になると小さくて可憐な花を咲かせる。ミツバチが飛び交い、隣の田んぼではカエルが鳴く。
鼠や土竜の穴が彼方此方にあって、飼っている猫が日向で陽を浴びる。
秋になると、その年の農作業が終わって収穫祭というささやかな食事会をしてお互いを労う。
立茎の進んだアスパラガスの畝の隣には伝承野菜の赤大蒜が収穫を待つ。
バーニャカウダはイタリアのピエモンテ地方の郷土料理だが、日本の鍋料理と似ていて、食卓の真ん中に”フォイョ”と呼ばれるテラコッタ製の鍋を置き、その中でバーニャカウダを熱して、生の野菜や加熱した野菜をつけて食べる料理だ。 さらに、もともとは収獲のある秋から冬にかけて食べられていたもので、畑仕事を終え家族や友人と食卓を囲み、バーニャ・カウダとできたての新酒で収獲を祝った。
畑のものを美味しく頂こうと思ったら同じような感じになった。 野菜の旨味や香りをオイルで煮ることで逃さないで口まで運ぶ。
私どもの農地ではアスパラガスと赤大蒜を育てている。
作物の生育に影響する天候や病気と闘いながら、日々、畑に出向いては管理、収穫に勤しむ生活を送っている。 手塩にかけて育てた野菜の一部が流通の基準に満たない事がある。 アスパラガスの場合は頭が開いているというモノになるのだが、この均一化という同化が伴わなかったアスパラガスたちは排除される事があまりにも勿体ないので、そういった役立たずのアスパラガスを塩漬けにして保存している。
アスパラガスの塩漬けは、アスパラギン酸という旨味成分を凝縮してくれる。
その旨味はバーニャカウダに良く合った。
食べてもらうために育てた野菜は、やはり人を通って土に還したいと思う。
流通にのれない野菜を、さらに美味しくなるように手を加えバーニャカウダとして届けている。
今季の市場に出せないアスパラガス【塩漬け0kg/40kg】