2022/01/05 20:19
バーニャカウダ(Bagna Cauda)はイタリアの山岳丘陵地帯であるピエモンテ地方の郷土料理です。
【バーニャカウダの原料】は、
・アンチョビ・オリーブオイル・にんにくの3つだけです。
バーニャカウダの語源: Bagna(ソース)・Cauda(熱い)…つまり熱いソースを意味する言葉が語源となっています。
バーニャカウダの起源とみられる料理“Anchoiadeアンショアード”:バーニャカウダの起源と考えられる料理が、フランス・プロヴァンスで見られます。
L’ Anchoiade アンショアードは典型的な南仏プロバンス料理であり、南フランスで今でも食べられています。
レシピでは、アンチョビ、ニンニク、 ケッパー、オイルを使用します。材料を練って混合しアンチョビソースを作ります。そこに生の季節野菜(パプリカ、セロリ、ニンジンなど)を浸します。主に夏の料理で、白ワインまたはロゼワインを組み合わせることが慣習となっています。
L’ Anchoiade アンショアードは、おそらく中世にはすでに存在し、ピエモンテ州南部の塩とアンチョビの商人-アスティジャーノ(アスティの人)とクネーゼ(クネオの人)が彼らの取引と一緒にこのレシピを輸入したということでしょう。山岳地帯のイタリア・ピエモンテ全体に広がるまで、多少のレシピの進化をしていきました。
塩の道を通じてアンチョビがピエモンテの郷土食となりました。
塩の道=アンチョビの道:昔、海に面していない山岳地域のピエモンテでは、塩を入手するにはリグーリアやプロバンスといった沿岸地域から供給してもらわなければなりませんでした。これは1800年代まで遡ります。
イタリア20州がそれぞれの国として分かれていた時代には、塩が国境を通過する際には関税がかけられていました。そこで考えられたのが、塩よりも税率が低いイワシに大量の塩をまぶしたもの(つまり塩蔵アンチョビ)を輸入するという取引でした。このようにして、ピエモンテ州にはアンチョビが運ばれるようになりました。ピエモンテに運ばれたアンチョビのうち、塩の固形分はお金持ちに、イワシ(アンチョビそのもの)は庶民へと流通しました。こうしてアンチョビ自体がピエモンテの名物となり、またアンチョビを原料とする料理も郷土料理として定着しました。
このようにピエモンテ地方で広まったアンチョビ料理ですが、19世紀の終わりまで、バーニャカウダは貴族のテーブル、ブルジョア階級の家では食べられなかった模様です。
その後、1900年代にバーニャカウダは料理として再評価され、改良され、今日ではイタリアの美食の1つと見なされるようになりました。
バーニャカウダ祭り(Bagna cauda day)
アスティのニッツァ・モンフェラートという街ではカルド・ゴッボというゴボウとセロリの中間のような野菜が栽培されています。この野菜がバーニャカウダに欠かせない存在となっています。このカルド・ゴッボの収穫の時期にあわせて、毎年11月の第3日曜を含む週末には「バーニャ・カウダ祭り」が開かれます。
バーニャカウダソースの原料
ソースは3つの主要な材料で構成されます。
オリーブオイル
辛味・風味の強いエキストラバージンオイルはあまり合いません。
アンチョビ
アンチョビ原料のカタクチイワシは、地中海および大西洋の東部で見られる小さな遠洋魚です。新鮮な消費に適していますが、塩や油での貯蔵にも適しています。バーニャカウダの準備には、塩漬けのアンチョビが使用されます。カタクチイワシは、塩で処理および保存することにより、生で食するときには持っていない香りと風味を獲得します、これはもともと体内にある酵素によって熟成が進むためと考えられます、。それらの香りと風味がソースを特徴づけます。とりわけ、塩蔵による熟成はうま味を増大させます。
アンチョビは、漁獲の季節や、海域に応じて、風味が異なります。
伝統的に、カタクチイワシ漁は夏に行われ、塩漬けに加工された後、約6か月後の秋または冬に消費されました。
にんにく
イタリアのニンニクには多くの種類があります。最も一般的なものは、カラグリオ、ピアチェンツァの白、スルモーナの赤、ヴェサリコの赤、ボギエラの赤、ヌビアの赤などです。
バーニャカウダにディップする野菜は、伝統的にはほとんどすべて秋の野菜です。
ソースにリンゴや梨などの果物を浸すのが好きな人もいます。
焼きたてのポレンタのスライスやパンなどをディップしても良いです。
ピエモンテ地方の生野菜
トピナンブール(topinanbur)=キクイモ
ショウガのような外観で、シャキシャキした食感の根塊野菜です。流水で洗浄し、汚れの残留物を除去してから水分をとります。生で食べられます。ナイフで適当なサイズにスライスしながら食べます。
きのこ類
珍しいポルチーニを好む人もいます。
プンタレッラ
プンタレッラはローマで食べられている野菜です。チコリア・アスパラジオという原名です。茎がいくつにも分かれており、その中は空洞になっています。それぞれの茎を分解して、さらに繊維に沿いながらカットして食べます。苦味とともにほのかな甘さがあります、水にさらして生で食べます。
生卵
バーニャカウダソースを食べ終わった後に、締めの料理としてポットの中に生卵を落としてバーニャカウダソースと一緒に加熱します。バーニャカウダ味のオムレツができます。地元では定番の食べ方となっています。
バーニャカウダに合わせるワイン
赤ワイン
伝統的にバーニャカウダと組み合わせられるワインはピエモンテ産の赤ワインです。
バルベーラ、ドルチェット、およびフレイザの一部です。
バルベーラ(Barbera)
バルベーラは、ピエモンテに典型的な赤ブドウ品種であり、この地域のほとんどの地域で栽培されています。伝統的にバルベーラはシンプルで丈夫な弱酸性のワインです。
最も有名なバルベーラはバルベーラ・ダスティで、アスティ地区のほぼ全域で生産されています。
地元ではバーニャカウダとの定番かつ鉄則の組み合わせとなっています。