2022/10/18 22:11
荒木優太
『転んでもいい主義のあゆみ』
(フィルムアート社 2021年)
同質的なものの結合の中から異質なものが生まれる。(※1)
これを創発という。これをプラグマチストが知性の見方に利用した。
この創発の言葉は、英国の生物学者で哲学者のロイド・モルガンがその「創発進化」で創唱したものである。
「例外」に出会った際、知性は「試行錯誤」することで突如として「創発」的瞬間が到来する。これによって新しい方法が樹立される。(※2)
三つの芸術タイプがある。これは作り手でなく受け手の方に重心がある。[鶴見俊輔(1922-2015)思想家]
「純粋芸術」専門的芸術家が専門的な連中によって享受されるタイプ
「大衆芸術」専門的な芸術家が企業などの力を借りて非専門的な一般人に訴える芸術
「限界芸術」非専門的な芸術家が非専門的な人々に享受されるもの
限界学問というサークル。このサークルという小集団の形態は、変化能力の側面を成長させてゆくに適した集団の形である。サークルメンバーは、より多くのパーソナリティーを持つように、融通性のある人間に育っていく。
自己なるものは二つの面で拘束を受けている。第一に自己とは単一のものではなく、幾つにも分裂している。各瞬間における自己はその後に来るべき自己に向かって話しかけており、それらの自己に相談を持ちかけているのだ。/第二に、自己は何等かの社会集団に属しており、その集団全体よりも下位にある。
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津野梅太郎
『編集の提案』
(宮田文久 編 黒鳥社 2022年)
プラグマティズムな仕事の進め方。(※1)
やれるところまで、その手の荒っぽい意味論でやっていく。そうすれば、そこから外れる見えない世界も、よりはっきりと見えてくるんじゃ無いかと。
編集と設計は違う。設計ではまず設計図を作り、それに必要なパーツを作ったり集めたりして、そこに当てはめていくけど、編集ではバラバラの既製品を組み立てて新しい意味を作り出す。「モンタージュ」「コラージュ」など。
料理もそう。冷蔵庫を開けて、そこにある食材を組み合わせて、美味しい、でも名称のない料理を作る。やっぱり編集だよね。「何かと何かを結びつけて新しい価値を生み出す」
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ジム・アル=カリーリ
ジョンジョー・マクファデン
『量子力学で生命の謎を解く』
(水谷淳 訳 SBクリエイティブ 2015年)
ドイツ人物理学者のマックス・プランクは厚い物体が発する熱に関する黒体放射の謎を解明したことで、エネルギーは「量子」と呼ばれる不連続な塊になっていると提唱し、1900年に量子論を誕生させた。
ヨーロッパコマドリは甲虫や種子で身体を太らせている。それら全て、我々が植物や微生物と呼ぶ、量子のパワーを得た光合成マシンによって空気と光から紡ぎ出された生物有機体でできている。
匂い分子がコマドリの鼻腔に入ると嗅覚受容体に捕らえられる。量子トンネルによって神経信号に発せられ、それがイオンチャンネルを介して脳に伝わる。
そして交尾をして、遺伝情報が新たな世代のコマドリにほおぼ完璧にコピーされる。そしていくつかのエラーは、この種の将来の進化のための原材料となる。(※2)